旅行者
船で海を渡ってきたのだろう
#0000ffの晴れ渡ったBlueな空にドット絵の雲が流れ
チタンの翼をもったカモメが
カラーバーの海の上をあやうげに滑空していた
何も知らない懐かしい 来たことのない生まれ育った異国の町で私は
気づけばhighwayを走っている
出口のない 無限に同じ景色がつづく高速をずっと走ろう
このいんちきな一瞬は永久に完結しているから
廃墟になったマンションで壊れているブラウン管TVの画面にとぎれとぎれ映るのは
DVDにしてもらえない古いアニメのまぼろし
突然今ここに投げ出されて無限にずっとここにいる私は
夜、錆びついた狭い道が蛇行する歓楽街の裏通りで、電機のサーフボードを抱えて電子の波を探している気分に浸る
27時のくもり空はバグったファミリーコンピュータの画面
はがれたドットが虹色の雨粒になって降ってくる
スーパーマーケットの中で何列も整列させられているカップ麺のうるさい包装
コンビニの棚にはスナック菓子の袋
ドラッグストアの壁一面を占領するalumin(i)um缶チューハイ
虹色の雨粒がしとしと落ちて ささやかなスパークのあと消えていく夜の街
このブログの作者:浦葭広
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